大将の槙田芳明氏は、18歳で修行のため上京。日本料理を7年学んで静岡に戻り、市内の料理旅館に2年務めたのちに独立。その後36年間、日本料理を提供する小料理屋を切り盛りしてきた。今から約10年前に、母親と妹で営んでいた同店を引き継ぎ今に至る。現在は、長女(純子さん)と二人で店を切り盛りしている。

 鰻一本に絞ったシンプルなメニュー構成が印象的だ。作り置きは一切せず、注文を受けてからご飯を炊き、鰻をさばく。じっくりと蒸し、炭火を使って丁寧に焼き上げる。そして、1匹から1つとれる肝はお吸い物に使用する。付け合わせのお新香は、祖母の代からの秘伝のぬか床をつぎ足し、毎日2回以上手を入れながら維持している。「どれも板前として当たり前のことですが、そんなやり方をしていますので、急にご来店いただくと注文してから1時間ほどかかってしまいます。出来たて・焼きたての一番おいしい状態で提供することを徹底していますので、ご来店の際は必ず予約をお願いしています」。

 抵抗する鰻を一瞬でさばくのがうなぎ職人の腕。商売道具のうなぎ包丁は、20匹さばいたら刃を研ぐという徹底ぶりだ。また、庭には樹齢約60年のソメイヨシノが鎮座し、春には見事な花を咲かせる。鰻と日本酒と桜を楽しみに毎年欠かさず通うファンも多い。「食事も雰囲気もすべて含めて、満足して帰っていただければ嬉しいです」。

 

■住  所/静岡市駿河区稲川1-9-23

■電  話/054-285-1288

■営業時間/11:30〜14:30、17:30〜20:00(完全予約制)

■座 席 数/29席(テーブル24席、カウンター5席、個室あり)

■定 休 日/水曜日、火曜日不定休

■駐 車 場/2台完備