オーナーである大石さんは、写真撮影やグラフィックデザインを手掛ける「アトリエOEC」を次郎長通りで営んでいる。4年前、次郎長通り商店会の会長になったことをきっかけに地域の活性化を考えるようになった。そのタイミングでこの建物と出会う。1936年(昭和11年)から約30年間、清水銀行美濃輪支店として使われたが売却。昭和期には個人事業の事務所の時代もあったが数十年の間、閉ざされた状態だった。大石さんがこの物件に出会ったのは、ちょうどここを取り壊して売りに出される時だった。散歩中に売主とバッタリ会い、現況で買うことに合意した。

 「運命を感じましたね。妻(朋子さん)は飲食店経営の経験があったので、建物を最大限に生かしてカフェとして再生してみたいという情熱が沸いてきたんです」。とはいえ、簡単ではなかった。建物の中を見ると、かなり傷んでいる部分が目立った。検討した結果、夫婦2人で少しずつセルフリノベーションをすることに。購入から4年間の工事を経て昨年10月に「Café OEC」をオープンした。

 大石さんは「次郎長通りには、まだまだ歴史ある古民家などが点在していて、次郎長と縁のある建物(空き家)も存在しています。そんな古い建物でも再生できるということを知ってほしい。ここはヴィンテージ ストリートスケープ(時とともに価値が高まる古き良き街並み)になることができる場所です」と熱く語った。

 

■住  所/静岡市清水区松井町12-1

■営業時間/11:30〜17:00

■定 休 日/月・火・水

■座 席 数/カウンター5席、テーブル18席

■駐 車 場/4台