A 土地や家屋を共有していますと何かと不便なことがありますね。お母さんの遺産を分割する際に単独名義にしたいという気持ちはよくわかります。その際、あなたと妹さんの間の共有物分割とお母さんの遺産分割とを分けて考えてください。
【共有物分割】
共有物分割は持ち分に応ずる権利が集約されたに過ぎず、資産の譲渡による所得や贈与があったとはされませんが、分割前と分割後で価額差があると贈与等の問題が生じます。
たとえば、A土地300㎡(時価3000万円)とB土地150㎡(時価1000万円)を3人がそれぞれ3分の1の共有だったとします。A土地もB土地も3等分して、それぞれ単独名義にすれば所得税や贈与税などの問題はありません。
あるいは、上図のように分割してもよいでしょう。
上図のように分割すれば等価分割となり、贈与等の問題は生じません。
【遺産分割】
民法で定める兄弟姉妹間の相続分は等分ですが、相続人の間で分割協議が成立すればどのように分けてもかまいません。不動産、有価証券、預貯金など遺産総額が相続税の基礎控除額を超えれば相続税を納めなければなりませんが、原則としては分け方で相続税の総額が変わりません。もちろん、遺産総額が基礎控除額以下であれば相続税の申告も納税の必要もありません。
上図の例では、Aaの土地のお母さんの持ち分をあなたが、Ab土地とB土地のお母さんの持ち分を妹さんが相続すればそれぞれが単独名義になります。その他の財産は、前述のとおり相続人間で合意すれば自由に分けることができます。
静岡県行政書士会
相続家事委員会 天野敏彦