御社の場合、登記申請を10月1日以降に行う場合には、「株主リスト」の添付が必要となります。
1 改正の概要
平成28年10月1日以降に株式会社等が商業登記の申請を行う場合、株主総会議事録と共に主要な「株主リスト」の提出を求められることになりました。
2 「株主リスト」が求められる時期
今回の改正の施行日が平成28年10月1日となっており、それ以降に登記の申請をする場合には、たとえ株主総会の開催日が9月中であっても「登記申請日」で判断されることから添付が必要となります。
3 対象となる会社
改正の対象となるのは、株式会社(特例有限会社を含む)・投資法人・特定目的会社です。
合同会社やその他の法人は、「社員リスト」等の添付は求められません。
なお、本稿では、紙面の都合上、株式会社のみについて説明させていただきます。
4 改正の背景
改正の背景としては、商業登記については以前から適切に株主総会が開催されないまま真実でない登記がされることがあるという指摘がされていました。そこで、虚偽の登記申請を防止し、商業登記の真実性の確保をするために「株主リスト」の添付が義務化されることになりました。
5 どのような場面で添付が必要?
「株主リスト」の添付は、次の2つの場合に必要となります。
⑴登記すべき事項につき株主全員の同意(種類株主全員の同意)を要する場合
⑵登記すべき事項につき株主総会の決議(種類株主総会の決議)を要する場合 ⑴の例は、役員の責任の免除や組織変更等のそれが行われると株主の地位が脅かされる可能性がある手続きです。⑵の例としては、役員の変更や定款変更による目的の変更や商号の変更等の手続きです。いずれにしても、今後、株式会社では、商業登記を申請するほとんどの場合で「株主リスト」の添付が必要となると思われます。
6 株主名簿でOK?
株式会社は株主名簿をその本店に備え置かなければならないことになっていますが、株主名簿を作成してある場合にはそれをそのまま添付できるのでしょうか。答えは否です。「株主リスト」の記載は株主名簿に類似はしていますが、記載事項が若干異なり、株主名簿をそのまま添付することはできませんのでご注意ください。
7 「株主リスト」として使用できる
書面は?
確定申告の際に作成する「同族会社等の判定に関する明細書」を「株主リスト」として使用できる場合があります。ただし、いくつかの要件をクリアしないと使用できませんので、実際は、別途「株主リスト」を作成することになると思います。
なお、実際の記載例につきましては、法務省のホームページに「株主リスト」の記載例として掲載されていますので、そちらをご参照ください。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00095.html
8 すべての株主を記載するの?
株主全員の同意が必要な場合には、株主全員の情報を記載することになりますが、株主総会の決議が必要な場合には、次の要件をクリアする必要があります。
①議決権数上位10名の株主 又は ②議決権数の割合が多い順に加算して3分の2に達するまでの株主
で①又は②のどちらか少ない株主を記載した「株主リスト」
上記の要件が示されていますが、例えば、欠席した株主を記載するか否か、議決権数の割合が同順位の株主の記載についてどうするか等、実際には、その記載については迷うことがあると思います。
9 登記のプロを活用
今後は、日ごろの株主情報の管理が必須となってきます。今から「株主リスト」の基となる株主名簿から整えるにしても、手元の情報だけでは正確な株主名簿の作成ができないことも考えられます。身近な相談役として、登記のプロである司法書士をご活用ください。
司法書士名波直紀事務所
浜松市南区参野町170番地の1
司法書士 名波直紀 氏