公益財団法人 静岡県産業振興財団と静岡商工会議所は、県内各地の商工会議所や商工会(商工団体)と連携し、後継者問題に悩んでいる地元中小企業の経営者を対象に個別相談会を行っている。中小企業庁から受託する“プッシュ型事業承継支援高度化事業”といわれるもので、東部・伊豆ブロック、中部ブロック、西部ブロックに分け、中小企業診断士や税理士の資格を持つ専任のブロックコーディネーター8人(今年度は9人に増員予定)を配置。商工団体の経営指導員などが、経営者の背中を押して(プッシュ)、個別相談会への来訪を促している。
2018年4月〜2019年3月18日までの個別相談件数は441件と全国的に見てもトップクラスの実績を誇る。その内、経営者からの相談件数172件に対して後継者からの相談が111件と、当初の予想に反して後継者からの相談が多かったという。親族間の事業承継が比較的多い中小企業のケースでは、お互いの存在を認めてはいるものの経営者と後継者の間で、事業承継に関する具体的な話し合いができていないことが多く、今後は、双方の仲立ちを円滑に行うブロックコーディネーターの役割が期待される。
“プッシュ型事業承継支援高度化事業”の戦略策定やブロックコーディネーターを統括する承継コーディネーターの山﨑眞嗣氏は、「経営者の高齢化が進み、地域経済の重要な担い手となる中小企業の廃業に歯止めをかけ、次世代に事業を継承するためのお手伝いをしていきたい。今年は新元号が発表され、新たな天皇が即位します。また、消費税の引き上げやオリンピックを目前に控えたビッグイヤーでもあることから、事業承継を行うには絶好のタイミングといえます。まずは気軽に相談してほしい」と話す。県内の中小企業は約12万社。その内60歳以上の経営者は50%を占める。「経営者はもちろん、後継者の悩みを解決し、前向きに事業に取り組んでもらうための支援に注力していきたい」と山﨑氏は言う。
事業承継に関する個別相談会は、最寄りの商工会議所や商工会で毎月定期的に開催している。相談時間は9時、10時30分、13時、14時30分の4コマ。秘密厳守、相談は無料。問い合わせは、各商工団体または、『静岡県 プッシュ型』で検索すればホームページからも個別相談の予約ができる。