五感鷹匠 髪の病院（静岡市葵区鷹匠３─14─１）を運営する松下和生代表は、美容師の人材育成やシングルマザーの自立支援事業などを通じて美容業界の発展に力を注いでいる。“愛・誠実・喜び・感謝”を理念に、地域社会の発展に貢献していきたいと、鷹匠の地に拠点を設けた。結婚や子育てを理由に美容師を辞め、社会復帰したいと思ってもなかなか働く場所がなく、生活に困窮しているシングルマザーを中心に、女性の自立支援事業を行っている。
松下氏は、ヘアサロンの運営を通じて“品格のある社会人の育成”を掲げている。リテラシーの欠如によって美容師が、詐欺や犯罪に巻き込まれるケースも少なくないと松下氏は話す。「年収はもちろんですが年次有給休暇など、普通の会社で働いていれば受けることのできる社会的な権利を得られないことも多い」。しかし、自発的に異業種の人たちと出会って自分にはない知識を習得することや、自己啓発のために学びの場に出かけていく人は少ないという。「美容業界に就職してよかったと思ってもらえるためにも、物心両面から美容師の地位向上に役立つ事業を確立したい。また、安易に独立開業してしまう美容師も多いため、サロン経営を学ぶ場としても機能させていきたい」と気を引き締める。
これらの取り組みを広げていくため、２０２０年５月のオープンを目標に静岡市内に２店舗目を出店する計画で、２０２１年には首都圏への進出も予定している。将来的には現店舗と２店舗目はシェアサロンとして運営していく方針で、松下氏と提携するさまざまな美容師が顧客の施術や情報交換を行うほか、何よりも技術の研鑽を積むことができる場にしていきたいという。都内では病院内での出店を計画中。医師と連携しながら抜け毛や髪質改善といった予防医療の分野に特化し、現状から悪化させない医療と美容の側面からアプローチしていきたいと話す。
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