自家焙煎タイコーヒー豆専門工房のラチャプルック（静岡市葵区与左衛門新田63─50、深澤正一代表）は、タイコーヒー「森の恋人たち」を販売している。国内唯一の輸入元として、今後は全国展開を図る。豆の小売りだけでなく、イベント出張なども行う。「ラチャプルック」とは、タイの国花の名前。 　産地は、南北にも長いタイ最北端の山岳地帯、ラオス、ミャンマーが国境を接するこのエリアは別名「ゴールデントライアングル」といわれ、非合法の麻薬ケシの栽培地域として知られていた。治安も著しく悪化し、大量の森林伐採や焼畑などで森や水源が枯渇。貧困問題も深刻化していた。そこでタイ王国は、１９８８年にこの地域に住む少数山地民族の文化を守るため、人と自然が共存しながら発展することを目的としたプロジェクトを発足。その一つがコーヒー栽培だった。 　大自然の森に植えられたコーヒーの木々が、まるで恋人たちが楽しく語らっているように見える。そのコーヒーを「森の恋人たち」と名付けた。深澤氏は「雨季と乾季の気候を利用した、天日乾燥による製法で作られています。焙煎すると芳醇な酸味の中に甘さが残ります。世界のスペシャリティコーヒーに勝るとも劣らない深い味わいを是非ためしてほしい」と語る。 　また、深澤氏は毎年秋に浅間通りで開かれる「山田長政まつり」の仕掛け人。日本とタイの交流の架け橋となった浅間通り出身の山田長政にならい、日タイの親睦を推進するものだ。以来、タイの人や文化に魅せられ、２００７年に静岡日タイ協会を仲間たちと設立した。「このコーヒーを切り口に、静岡とタイの交流をより一層、進めていきたい」。「森の恋人たち」は１００ｇ５００円。