㈱アシスト(静岡市葵区瀬名川1─22─76、戸島和行社長)は、静岡の将来を担う若者の就業・生活を全面的にサポートするほか、結婚・子育て、そして安心して地元静岡で働ける就労の場を提供していきたいと考えている。
介護事業者を取り巻く最重要課題の1つが人材採用の問題である。同社では、20〜30代の若手を積極的に採用しているが、他の介護事業者が深刻な人材難に直面している中、なぜアシストは若手人材を採用できるのか。その秘訣について戸島社長は、「何よりも社員が働きやすい職場環境を整えているからではないか?」と分析する。介護職の地位向上を掲げる同社ならではの給与面での厚遇はもちろん、中小の介護事業者では数少ない有給休暇の推進事業所であることや、退職金制度があることも若者に魅力的な付加価値となっているのではないかという。
具体的には、県産材をふんだんに使った木造建ての本社兼住宅型有料老人ホーム“ロイヤルスイートハート・せながわ”(令和3年度、国内における総木造建築物10選に入る)をはじめとした3カ所の介護施設で、子育て世代に配慮したフレキシブルに働けるワークスタイルも高く評価されている一因なのではないかという。将来的には事業所内保育も視野に入れつつ、1つ1つ段階を踏みながら社員にも分かりやすく、そして、実践的に取り組んでいるというところで、こういった介護施設で働いてみたいといった評判が若い世代を中心に草の根的に伝わっていくことで、同社のブランディング化につながっていく。
「いまの時代の若者の働き方に合わせたビジネススタイルがあるため、それを実践している。例えば、子育て世代の3休4勤の正社員化や、その社員を総合職候補としても育成していきたい。若い世代に快適な職場環境を提示することは、ベテラン社員にとっても身体を酷使せずに働けるやさしい職場といえる。また、若手を中心とした日勤の入浴専門部門を設置したり、子育てが落ち着いた年齢の社員には夜勤をやってもらったりと、若い人が働ける職場環境をどのようにつくっていくのかを考えていきたい。ただし、資格の壁があり、特養・グループホーム・デイサービス・老健は無資格でもできるが、有料老人ホームは資格がなければダメというように、こうした不平等性を国にはきちっとならしてもらって、介護職の労働環境を整えていきたい。それぞれの介護事業者が課題を持ち寄りながら、業界全体として若者の就労支援や労働力を呼び込む流れや仕組みづくりを構築していきたい」。