“居酒屋ダイニング てんくう”を多店舗展開する㈲こころ(浜松市中区田町316-28、渡邉一博社長)は、今年度から本格的に着手する全国展開を睨み、同社初となる県外出店のエリアを愛知県豊橋市に決定した。これに伴い、店舗開発を行うセクションに対し、新店舗の設計などに関する権限を委嘱する。これまで渡邉社長や佐藤副社長が行ってきた不動産物件の選定から、店舗・厨房の設計やレイアウト、ディスプレイ看板のデザインに至るまで、新規出店に関する設計・監理などを店舗開発のチームに任せることによって、経営陣は10年後、20年後を見据えた新業態に着手する。
渡邉社長は新年度のスタートを目前に控え、“3本の矢”と名付けた新規事業計画を立案し、このほど発表した。それによると、①“居酒屋ダイニングてんくう”を年3~4店舗のペースで多店舗展開を推進、②外食産業23兆円の内、12兆円のシェアを有するレストラン市場への参入を本格化、③台湾を主力とした海外事業のサーベイを本格始動という目標を掲げた。
なかでも、レストラン市場への本格参入については、国内の人口減が本格的な局面を迎えたのを機に、既存のビジネスモデルだけに特化してしまうことに危険性を感じていた渡邉社長は、「従来の居酒屋業態とは異なる時間帯、異なる客層をターゲットに、市街地からロードサイド型の店舗に移行した外食業態のポートフォリオを確立したい」と話しており、従来の居酒屋業態に加えて基幹事業となる新業態を確立し、人口減による国内のリスクを台湾を中心とした海外事業でリカバーしていきたいという青写真を描いている。そのための新業態への進出であり、海外でも定着している寿司、すき焼き、天ぷらをメインに飲食の複合企業を目指す。
その一環として、とりわけ人材難といわれている飲食業界の学生アルバイトの求人を確保するため、ベトナム人の海外留学生に強みを持つ会社と留学生の職業紹介などを行う語学学校と提携し、留学生のアルバイト採用を組織立ててスタートした。言葉の壁はあるものの、外部とのコミュニケーションを必要としない厨房に配置することで、外国人でも容易に働ける簡素化されたオペレーションによって、年末の繁忙期も人材不足による休業を余儀なくされることなく、円滑な店舗運営が行えたという。留学生からも効率よく厨房を稼働させるための要望をフィードバックするなど、何よりも留学生たちが働きやすい職場環境づくりを心がけている。「人材難に立ち向かう1つの切り札として、また学生アルバイトの人手不足に対する対応策として、新たなビジネスモデルを構築していきたい」。
問い合せ、054・272・1639 (静岡紺屋町店)