服飾雑貨企画販売の㈱エルゴミクス(静岡市清水区旭町4─11、吉川佳吾社長)は、フィリピンで古くから民族衣装の生地や民芸品の素材に使われているアバカ(バナナ繊維)を原料に、日本市場向けに製品化した婦人雑貨の自社ブランド“ABACA BY DSO”の販売に力を入れている。
アバカはフィリピン各地で栽培されているバショウ科の植物で、繊維が丈夫なことからロープや高級紙、編かごなどの原料によく使われている。
同社はそのアバカに着目。成木の芯部分にある白くて細い繊維だけを取り出して糸に加工。染色した後、その糸を手動の機織り機で織って布生地にし、婦人用の帽子やバッグ、コサージュなどに仕上げる。事業化したのは妻の美智子さん。アバカを服飾素材に使うのは日本では大変珍しいという。生地づくりと縫製は、吉川夫妻自ら現地に足を運び、昔からアバカを使った民芸品などを生産している農村コミュニティーの人たちに協力を仰いだ。「柄やデザインはこちらで指示しますが、製造は現地の生地工房と縫製工場に委託しています。熟練した職人が手作業で作る生地は独特の艶があり、シルクのような高級感があります」(吉川社長)。2013年に販売を開始。現在では大手衣料品メーカーのカタログ通販やデパートの催事、TVショッピングなど販路も広がりつつある。同社ではブランド戦略をさらに推し進め「大手ブティックやアパレル商社にも売り込んでいきたい」と意欲を見せている。
●問い合せ、054・355・5075