【Q】私は自動車部品を製造する会社の人事労務担当者です。弊社に勤務する日系ブラジル人から、家族で日本に帰化したいという相談を受けました。知識不足で対応が出来ませんので本日ご相談に伺いました。
【A】まず帰化とは日本国民でない者、即ち外国人が日本の国籍を取得することをいいます。そして帰化をするには、法務大臣の許可を得なければなりません。そして帰化の申請をするには以下の六つの条件を備えている必要があります。
一つ目が「住所条件」といい、正当な在留資格を持って、引き続き五年以上日本に住所を有していることです。二つ目が「能力条件」といって、二十歳以上で本国法によって行為能力を有していることです。三つ目が「素行条件」といって素行が善良であること。例えば、交通違反が無いこと、住民税等をきちんと納めていることなどです。四つ目が「生計条件」といって自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができることです。簡単にいえば自活出来る経済力があることです。五つ目が「重国籍防止条件」といって、日本の国籍を取得することにより従前の国籍を放棄することです。六つ目が「憲法遵守条件」といって日本国政府を暴力で破壊することを企てたり、主張したり、若しくはそのような企てや主張をする政党、団体を結成したり、加入したことが無いことです。以上の条件は一般的な場合です。御社の家族のように日本と特別の関係のある日系人の場合は一つ目の住所条件が3年に緩和されたり、二つ目の能力条件、四つ目の生計条件を備えないときでも許可されることがあります。また外国人がその意思にかかわらずその国籍を失うことができない場合において、日本国民との親族関係又は境遇につき特別の事情があると認めるときは、五つ目の条件を備えていないときでも許可されることがあります。今回のブラジル人の方はこれに当たります。
次に手続きの方法及び注意点について説明します。
帰化申請は基本的に本人申請となります。まず住所地を管轄する法務局に電話をして面接の日を予約してください。そして予約日に法務局に出向き最初に面接を受けます。面接時にはパスポート(旧の物も含む)在留カード、戸籍謄本、出生証明書、婚姻証明書等を持参して下さい。担当官は面接の中で日本語の会話能力をみます。その時、帰化事件相談表や家族関係図を記入したりする作業があります。また簡単な日本語の読み書きのテストが実施される場合もあります。申請書類の中にも「帰化の動機書」があります。これは本人が自筆で記入する必要があります。少なくとも小学校二年生レベルの漢字の読み書きは出来るようにしておいて下さい。担当官が面接の結果、帰化を許可するに足りると判断した場合、必要書類の一覧表を提示し次回面接までに準備するように説明があります。必要書類が揃った時点で二回目の面接へと進みます。以上のようなステップを経て帰化許可申請書及び添付書類を提出し受理となります。その後呼び出されたりすることもあります。また許可の結果が出るのに受理後概ね六か月から一年かかると思って下さい。
審査の結果許可される場合もあれば、不許可の場合もあります。そこのところは必ずご説明下さい。
以上が帰化に関する内容です。帰化には時間もかかりますし、作成する書類もたくさんあります。私たち行政書士は、申請人の面接に同行したり、添付書類を取り寄せたり、提出書類を作成したりするお手伝いが出来ます。その折には是非ご利用下さい。ありがとうございました。
静岡県行政書士会
国際委員会 委員 髙木正美