するが夢苺㈱(静岡市駿河区西平松195、海野保社長)は、静岡市の久能海岸沿いで栽培している『石垣いちご』の再興に向けブランド化と販路開拓を進めている。
新規事業に向けた試みは多岐にわたる。静岡大学・静岡県立大学・静岡英和学院大学の教授らとともに、『石垣いちご』の栽培を省力化する技術の開発や、端境期のブルーベリー栽培、ジャムやイチゴパウダーなど加工品の製造販売について計画を進めている。
栽培技術について海野社長は「すでに全国でイチゴ栽培の省力化は進んでいますが、久能地域の農家40~50件だけで育てている『石垣いちご』では初めての試みです。また荒廃地を活用した規模拡大を目指しています。その前段階としてまずは栽培技術の省力化ができないかと検討し、実用化に向けて動き出しているところです」と話す。今後について「約130年の伝統を持つ『石垣いちご』を次世代につなげていくためにも、栽培方法や販路を革新していきたいです。そして農家と消費者、双方の声がお互いへ直接届くように売買できる仕組みに変えていきたいです。省力化栽培・販路開拓・文化的背景など多角的な視点から『石垣いちご』の再興ができれば」と話す。
『石垣いちご』は有度山(日本平)の斜面の石垣を利用して栽培する。斜面地のため平地の苺園より日光が多く当たり、また石垣に蓄えられた熱によって保温効果が増すので甘みの強いイチゴに育つ。しかし収穫ごとに石垣を組み直す必要があり、斜面地のため平地の作業以上に栽培者の負担が大きい。そのため後継者不足や荒廃地の拡大といった問題点につながっている。