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【丁子屋】約40年ぶりの 「茅葺屋根葺き替え」を披露 東海道五十三次の風景を後世に

2018/06/05 [06月05日号掲載]

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 丁子屋(静岡市駿河区丸子7─10─10)は、5月19日に約40年ぶりとなる茅葺屋根葺き替えの披露会を行った。クラウドファンティングを活用して1月に着工、3月末に完成した。

 丁子屋は、東海道五十三次の20番目の宿場町である鞠子宿で、慶長元年(1596年)から422年間、自然薯のとろろ汁を提供し続ける。歌川広重が描いた浮世絵「東海道五十三次」の鞠子宿には茅葺屋根の丁子屋が描かれており、この浮世絵さながらの景観と東海道の茶店としての文化を現代に継承するため、12代目柴山信夫が築300年余の茅葺の古民家を1970年に移築、1980年に葺き替えを行って以来の全面葺き替え工事となった。

 14代目の柴山広行氏は「今後100年、200年先も、東海道の歴史や旅人文化を後世に伝える茅葺屋根の丁子屋として、営業を継続していきたい。また、1970年に移築した現在の丁子屋の古民家は、1キロくらい西の大鑪(おおだたら)地区で取り壊されるところを譲っていただいたものです。高度経済成長真っただ中の当時、古い家は壊し近代的な建物に建て替えようとする風潮の中、12代目は“丁子屋には何にも替え難い歴史がある”という強い信念のもと、当地に古民家を移築しました。今回の茅葺修復は、12代目が移築した古民家の単なる修復ではなく『広重の絵そのもの』の実現です。描かれた茶店には、赤ちゃんをおんぶした何代か前のおばあちゃん、弥次喜多を思わせる旅人、そして自然薯生産者さんが描かれ、背景には丸子という地域があります。丁子屋は丸子という地域のつながりの中で、この風景や文化を守り、地域に貢献していくことが自分たちの使命と考えています」と語る。