静岡県は、県内の中小企業や団体などのデザイン性に優れた製品や活動を顕彰する「2018グッドデザインしずおか」の各受賞企業を決めた。11月12日の表彰式当日に金賞(大賞候補)を受賞した4社によるプレゼンテーションをもとに審査した結果、大賞は「茶ノ実油GoldTeaOil」(㈱白形傳四郎商店)が受賞した。
同社は10年前、茶生産農家の高齢化・後継者不足によって広がる「放棄茶園」対策として未利用資源である「茶の実」に着目、研究と実験を繰り返し搾油率アップを実現、3年前に商品化した。この「茶の実100%オイル」は、β─カロチンやビタミンE、コエンザイムQ10を多く含んだ健康志向の食用油であるとともに、化粧品分野をはじめとした、さまざまな業種の企業からは「優れた素材」として注目されている。
「グッドデザインしずおか」は、色や形、技術や機能といった「モノ」だけでなく、「仕組み」や「取組」といった「コト」に広がっている中、企画段階から流通段階までの間に、戦略的にデザインを活用したものごとを選定・顕彰する事業で、今年で25回目を迎えている。今回は金賞のほか、ユニバーサルデザイン賞、匠賞、特別賞など計13社が受賞した。
審査委員長の伊豆裕一氏(静岡文化芸術大学デザイン学部長)は「今回金賞を受賞した『茶ノ実油GoldTeaOil』、『パーム・デオドラントにぎるっ茶』、『すぷうんおばちゃんの三角スプーン』、および『ドーピングガーディアン』は、高齢者や幼児からスポーツ選手まで、それぞれ異なるユーザーをターゲットにデザインされています。しかし、これらのデザイン、それぞれの応募者の身近な人々や地域に向けた思いが込められたものである、という点は共通しています。“デザインの本質は思いやりの心だ!”と実感させていただいた今回の審査でした」と感想を述べている。