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私(78歳)の夫(83歳)には、若い時に統合失調症を発症し、長い間、精神科病院に入院している80歳になる妹がいます。妹には子どもがおらず、今まで、私達夫婦が妹の世話をしてきました。私達夫婦も高齢になり、今までのように妹の世話を続けていくことに限界を感じていましたが、成年後見制度の存在を知り、是非利用したいと考えています。どのような制度なのでしょうか。

2021/08/05 [08月05日号掲載]

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本人(妹)の判断能力が不十分である場合に、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に後見等(後見・保佐・補助)開始の申立てを行うことで、成年後見人等が本人に代わり財産を管理したり身上保護を行うことで本人を守る制度です。

 

成年後見制度とは

 認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々の中には、自分の財産(預貯金など)を管理することが難しい方もいらっしゃいます。このような判断能力の不十分な方を保護し、支援するのが成年後見制度です。

 

法定後見制度と任意後見制度

 成年後見制度には、大きく分けて法定後見制度と任意後見制度の二つがありますが、今回のように、既に本人に十分な判断能力がない場合には、法定後見制度が問題となります。

 

法定後見制度

 法定後見制度は「後見」「保佐」「補助」の3つに分かれており、利用する方の判断能力の程度に応じて利用できるようになっています。

「後見」 判断能力が欠けているのが通常の状態の方

「保佐」 判断能力が著しく不十分な方

「補助」 判断能力が不十分な方

 法定後見制度においては、家庭裁判所によって選ばれた成年後見人等(成年後見人、保佐人、補助人)が、本人の利益を考慮しながら、本人を代理して法律行為をしたり、本人が自分で法律行為をする時に同意を与えたり、同意を得ないでした不利益な法律行為を後から取り消したりすることによって、本人を支援し、保護します。

 成年後見人等は、本人の生活、医療、介護、福祉など本人の身の回りの事柄にも目を配りながら、本人の財産管理を行い、支援していく責任を負っています。また、成年後見人等は、遂行した事務について家庭裁判所に報告し、監督を受けることになっています。

 

法定後見の申立て

 本人の判断能力に応じて、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に後見等(後見・保佐・補助)開始の申立てを行う必要があります。

 申立てができる者は、法律で制限されており、本人、配偶者、4親等内の親族、検察官、市町村長などです。

 申立ての際には、本人の健康状態に関する資料や本人の財産に関する資料など多数の資料の提出を求められますので、申立てをお考えの際には、お近くの司法書士にご相談することをお勧めします。

 

任意後見制度

 最後に、任意後見制度についても簡単に説明します。

 任意後見制度は、将来判断能力が不十分な状態になった場合に備えて、本人が十分な判断能力があるうちに、あらかじめ自ら選んだ任意後見人と身上保護や財産管理に関する事務について任意後見契約を結んでおく制度です。

 本人の判断能力が低下した後、任意後見人が、任意後見契約で決めた事務について、家庭裁判所が選任する任意後見監督人の監督のもと、本人を代理して法律行為をすることによって本人の意思に従った保護や支援をすることが可能です。

 成年後見制度のご利用をお考えの方は、お近くの司法書士にご相談ください。

 

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司法書士 岩本