予約の取れない高級寿司とコスパで勝負の回転寿司。そんな二極化の中、手間や工夫に加え、店の空間や店主の魅力がモノを言う町場の寿司店「町寿司」が注目され始めている。

 寿司照は、ここ清水区入江で創業し今年10月で60年。まさに入江の「ザ・町寿司」だ。初代店主で父の映洋(てるひろ)さんが亡くなってからの約10年、母娘で経営する寿司店として常連を楽しませてきたが、今年3月に母・通子(みちこ)さんが亡くなり、現在は長女の大多和あずささんが一人で切り盛りしている。静岡では珍しい、女性板前の一人だ。

 「父は職人気質の頑固者でしたが、その一方で人情味あふれる人でした。母は明るく大らかでひょうきん者。お客さんからたくさんの笑顔を引き出していました。父の代からの常連さん、母を大好きと言ってくださるお客さん、私の母校・清水商業高校の先輩・後輩など地元の友人、そして登山仲間たちが多く来店くださり支えてもらっています」。

 登山が趣味だった父は、常連と一緒に「清水山好会」をつくり会長も務めた。今も会員で月2回のトレッキングと年3〜4回の百名山クラスの登山を行っている。「あずさ」の名も日本屈指の山岳景勝地「上高地」(長野県)にある梓川(あずさがわ)からとったという。「そして私も登山に魅了された一人。山の話になると止まらないです(笑)」。

 

■住  所/静岡市清水区入江1-9-15

■電  話/054-366-0076

■営業時間/ランチ 11:30〜14:00(LO.13:30)※要予約

      ディナー17:00〜21:00(LO.20:30)

■座 席 数/カウンター5席、テーブル8席

■定 休 日/水曜日

■駐 車 場/1台 ※近隣に有料駐車場有り